tak_kohei

名も無きQAエンジニアのブログ

オンラインホワイトボード活用術

こんにちは。エムスリーキャリアでQAを担当している@tak_koheiです。 このエントリーは、エムスリーキャリア Advent Calendar 2022の16日目です。

オンラインホワイトボードを活用して、オンライン会議のコミュニケーションを改善した事例をご紹介します。

在宅勤務とオンライン会議の現状

コロナ禍で急速に在宅勤務の普及が進み、オンライン会議も頻繁に行われるようになって久しい今日この頃。最初はたどたどしかったZoomでのやりとりにも慣れ、通勤時の満員電車からも解放されて幸せな毎日。そんな日々が日常になっていく一方で、なんとなく何かが失われたままのような気もしていたり。リアルな会議でやっていた所謂「ワイガヤ」みたいな空気感が、オンラインの会議には少ないような気がする、と感じることってありませんか。

もう長いこと純粋な「リアル会議」をやってなかったりすると、そろそろコロナ禍以前がどうだったかなんて忘れてしまいがちなので、もしかしたら過去を美化しているだけなのかもしれません。でもやっぱり「何か」あったんだよなぁ、って。

そんな喪失感の元って何なんでしょう。

失われてしまった何かとは

私が感じている喪失感をいくつか言語化してみました。

スピード感の不足

リアクションの不足

ただし、これらの問題は全てのオンライン会議に当てはまるというわけでなく、定型の話題や流れで進める会議体ではあまり問題になりません。例えば、業務の進捗報告や作業分担などは、通常のオンライン会議の方法で問題無く議事進行が可能だと思います。

一方で、不特定の課題に対して複数人で議論することが前提になっている会議体では、この問題を強く感じます。例えば、固まっていない企画や設計に対していろんな意見を出し合って案を固める会議や、問題を解決するための糸口を探って対策を考える会議、などです。

問題の解決を試みる

そこで、オンラインホワイトボードを利用して*1、この問題の解決を試みました。チームのメンバーと試行錯誤を繰り返し、たどり着いた方法と効果についてご紹介していきます。

会議の進め方

参加者全員でオンラインホワイトボードを使いながらオンライン会議を進めます。具体的な進め方は以下の通りです。

オンラインホワイトボードを使ったオンライン会議の進め方

特に議論する際には以下のポイントを意識しながら進めます。

オンラインホワイトボードを使ったオンライン会議のポイント

最初はどうしても「話す」「聴く」「読む」が優先になってしまって、ホワイトボードに「書く」のが滞りがちなので、まずは簡単な話題を題材にしてのトレーニングから始めてみると良いかもしれません。参加者全員が「音声」と「ホワイトボード」の両方を使って議論に参加できるか、が鍵だと思います。

会議がどうなったか

ホワイトボードを「使わない会議」と「使った会議」で、参加者の行動がどう変わったのか、を図解してみました。

ホワイトボードを使わない会議 オンラインホワイトボード導入前

ホワイトボードを使わない会議では、一人が話をしている間、他の参加者は聞いているだけ(待ちの状態)になることが多かったのに対して

ホワイトボードを使った会議 オンラインホワイトボード導入後

ホワイトボードを使った結果、話している以外の参加者も待ちの時間が少なくなって、より積極的に議論に参加できるようになりました。単位時間当たりに流れる情報量も多くなり、コミュニケーションの密度が高くなったと感じます。

つまり、音声以外の方法で意思疎通を可能にするチャンネルが増えることで、やりとりの並列化が起きて流れがスムーズになっているのだと思います。

何が起きているのか

なぜオンラインホワイトボードなのか

例えば、オンライン会議のツールに付属しているチャット機能を利用するなど、音声だけに頼らないコミュニケーション方法はオンラインホワイトボード以外にもありそうです。ただ、オンラインホワイトボードを使うと更に以下のような良い恩恵があります。

なぜオンラインホワイトボードなのか

オンラインホワイトボードでは付箋や図形や画像などが使えて、表現の自由度が高いために思っていることのニュアンスも含めて伝えることができます。例えば、複数の提案を条件や状況で場合分けして提示したり、チョット込み入った仕組みの説明を図形で補足説明したり、といったチャットでは表現の難しい意図も工夫次第で伝えることができるようになります。

また、チャットを使った場合はどうしても「今の話題」に対してしか書き込めないため*2、「話題は先に進んでしまったけど意見を言っておきたい」や「後になって別のアイディアを思いついた」などに対応するのが難しくなります。

どう改善したか

以上の取り組みの結果、オンライン会議の問題は以下のように改善が進んでいます。

スピード感不足の解消

リアクション不足の解消

ホワイトボードを使うことでコミュニケーションが円滑になっただけでなく、普段は発言してもらうのが難しいメンバーからも意見を引き出せるようになったのも予想外の嬉しい効果でした。リアル会議でも解決が難しかった問題も解決できちゃうオンラインホワイトボードの潜在能力は素晴らしいです。

ただ、現状はまだファシリテーターがホワイトボードから意見を拾ったり参加者の発言を引き出したりと、会議の進行に強めのアシストをしている状態です。今後、チームでこの方法を成熟させていって、必要最低限の補助だけで自然とコラボレーションが形成できるようなチームにしていきたいと思っています。

まとめ

オンライン会議にスピード感が無いなと思ったら

オンライン会議で孤独を感じたら

  • コミュニケーションのチャンネルが混雑していないか気にしてみる
  • 混雑解消のために別のチャンネルを用意して使ってみる
  • 発信のハードルが低いチャンネルを使うと良いです
  • 議論の内容を整理して記録できる方法だと尚良いです
  • 「声」と「文字」の同時2系統で会議ができるように練習をする

利用するツールはどんなものでもよいので、まずは「意思伝達の並列化」を意識的にやってみてはいかがでしょうか。

最後に

私たちが使用しているオンラインホワイトボードのStrapをご紹介します。

Strapは、広さ無限大のボードに付箋・図形・画像などを複数人で自由に書き出せるオンラインホワイトボードです。

利用していて特に優れていると私が個人的に感じている点は以下です。

Strapが優れていると感じる点

最低限のハードルで、人の温もりが感じられるコミュニケーションを実現できるので、今回のようなケースにはぴったりのツールではないかと思っています。ちなみに本記事の挿絵も全てStrapで作成しています。*3

それと、Strap導入事例の紹介サイトにて私たちの取り組みも記事にしていただきましたので、ご興味のある方は是非ご覧になってください。

product.strap.app

最後まで読んでいただきありがとうございました。

*1:最初からオンラインホワイトボードがオンライン会議の改善に効果があると思っていたわけではなくて、たまたまの出会いで使い始めただけだったのですが

*2:議論中の話題とは別の話題をチャットに書き込んでしまうと、議論が混線してかえってコミュニケーションを阻害してしまうことがあります

*3:図形を描くことができるので状態遷移図を描いてオンラインでテスト分析やテスト設計なんかもできちゃいます