こんにちは。@tak_koheiです。このエントリーは、エムスリーキャリア Advent Calendar 2023の11日目です。
私たちの組織において、QAエンジニアはソフトスキルの面で組織の活動を下支えする役割も担っています。例えば、ソフトウェアの欠陥や問題点を開発エンジニアと正しく認識し合ったり、プロジェクトのふりかえり会を主催して問題や課題を引き出しながら解決策の検討を推進したり、開発エンジニアとその他のステークホルダーの間に入ってコミュニケーションをより円滑にする動きをしたり、といった活動です。
そこで、そんなQAエンジニアが日々活用しているソフトスキルをもっと広くエンジニア組織全体で成長させていくための仕組みが作れないかと考え、『ソフトスキルマップ』と呼ぶソフトスキルの一覧とその定義のセットを作成して、ソフトスキルの習得を支援する活動に取り組んでみましたので公開します。
ソフトスキルとは
ソフトスキルとは、コミュニケーションやリーダーシップ、課題解決や時間管理など、仕事を進める上で基礎となるスキルのことです。一方で、ハードスキルとは、プログラミングやソフトウェアテスト技法など、専門分野のスキルを指します。仕事を正しく円滑に進めるためにはソフトスキルとハードスキルの両者が必要です。
ソフトスキルの効果的な習得プロセス
まず、ソフトスキルをどのように習得するのかについて考えます。より効率的にソフトスキルを習得するためには、以下の工程を繰り返す必要があります。
認知
認知とは、具体的にどのようなスキルが必要なのかを理解することです。この工程では、まず自分には何が必要なのか、何を学びたいのかを具体的に理解することが重要です。例えば、コミュニケーションスキルの中でも「口頭で説明するスキル」と「文章で説明するスキル」は異なります。ソフトスキルを理解するためには、書籍やオンライン教材を使った学習、専門家や経験者からのアドバイスを受けるなどが有効ですが、実践的な要素が強いスキルであるため実際に使える具体的なな知識を獲得しにくい領域でもあると思います。
実践
認知したスキルを実際に使って実践することで、そのスキルを習得します。実務の中でそのスキルを使ってみることが非常に重要で、学習や模擬演習がスキル習得に結びつくハードスキルとは大きく異なる点だと思います。この段階では、学んだことをどのように実際の状況に適用するかを考え、試行錯誤しながら最適な方法を見つけ出す必要があります。実践する際には失敗を恐れず、また他人のフィードバックを都度受け入れるなど内省に繋げることが重要です。
内省
内省とは、自分自身で実践した結果を振り返り、何がうまくいったのか、どんな改善が必要なのかを考えることです。自己反省を行うことで、自身の行動や結果について深く理解し、次の行動へ活かすことが可能になります。また、上司や同僚からのフィードバックも重要な情報源となります。ただし、この工程では自己批判に陥らないように注意が必要です。失敗から学び、改善につなげることが重要です。
認知の施策①:ソフトスキルマップ
上記の習得プロセスを踏まえて、まずは「認知」を進める方法を考えていきます。
ソフトスキル習得の難しさ
ソフトスキルを習得することを困難にしている要因の1つに「具体的なスキルを認識し難い」という問題があると思います。まずソフトスキルの全容がハードスキルほど明確ではありません。ひとまずソフトスキルを構成する大まかなスキルを洗い出す必要がありそうです。
また、洗い出したスキルも抽象度が高いと具体的なスキルとして認識がし難いです。例えば「コミュニケーションスキル」って具体的にどんなスキル?って説明するのは難しいですよね。相手の話を聴くスキル、相手の表情や仕草から気持ちを洞察するスキル、言いたいことを正しく伝えるスキル、会話を和やかにするスキル、相手に安心感を感じてもらうスキル、などなど分解していくといろいろありそうです。
つまり、ソフトスキルの認知を進める上では、まずは具体的なスキルに分解し説明するための定義作りが必要だと考えました。
ソフトスキルマップ作成
そこで『ソフトスキルマップ』という名称でソフトスキルの定義を組み立てていきました。まず、全体を「対人スキル」と「非対人スキル」の2つに分類しました。そこからそれぞれ大まかな構成要素をグループとして列挙していき、対人スキルには「コミュニケーション」と「リーダーシップ」、非対人スキルには「課題解決」「創造性」「時間管理」「自己研鑽」「感情知性(EQ)」を紐付けました。そこからそれぞれのグループを更に具体的なスキルへと分解しました。
以上により、「コミュニケーション」13つ、「リーダーシップ」8つ、「課題解決」9つ、「創造性」5つ、「時間管理」8つ、「自己研鑽」4つ、「感情知性」4つのスキルに分解できました。
各スキルの定義
次に、それぞれのスキルはどのようなことが出来るスキルなのか一つずつ説明を加えました。長いので折り畳み式になっています。クリックするとそれぞれのスキルについて説明が展開されます。
対人スキル
コミュニケーション(クリックで展開)
傾聴力
- 相手の話を注意深く聴き取ることができる
- 相手の言葉だけでなく、表情や身振りも注意深く観察できる
- 相手の立場や視点に共感し、尊重することができる
洞察力
- 相手の言葉の意味や本質を正確に理解できる
- 相手の感情や意図を読み取ることができる
- 相手の課題やニーズを汲み取ることができる
要約力
- 相手が伝えた主要なポイントを見逃さず正確に理解できる
- 伝えたい内容の重要なポイントを整理できる
- 相手にわかりやすく簡潔に伝えられる
論理的表現力
- 議論や問題の中心となる論点を見極め、整理することができる
- 自分の主張に対して適切な根拠や証拠を示し、説得力を持たせることができる
- 話の展開や説明が論理的であり、簡潔で理解しやすい構造に組み立てられる
柔軟性
- 相手の性格や感情に応じて、適切なコミュニケーション方法を選択できる
- 相手の理解度や疑問点に応じて、適切なコミュニケーション方法を選択できる
- 相手の役割や立場に応じて、適切なコミュニケーション方法を選択できる
協調性
- 他人の意見に耳を傾け、異なる視点やアイディアを尊重できる
- 相手のスキルや知識を理解し、役割分担や協力を促すことができる
- 対立が生じた際に双方の意見を尊重しながら解決策を見つけられる
共感力
- 表情や態度などから相手がどのよいうな感情を抱いているか理解できる
- 相手の状況や背景を理解し、相手の立場に立って物事を考えることができる
- 自身の感情を抑え相手の気持ちに寄り添うことができる
内省力
- 相手に与える影響を考慮してコミュニケーションをとることができる
- 人と接する際の思考や言動、態度を客観的にふりかえることができる
- コミュニケーションにおける自分自身の問題点に気付き改善できる
口頭表現力
- 口頭で、自分の意見や感情を明確に伝えられる
- 正確かつ適切な言葉選びで相手にわかりやすく伝えられる
- 相手の前提知識を踏まえて相手が理解できる言葉で伝えられる
文章表現力
- 文章で、自分の意見や感情を明確に伝えられる
- 正確かつ適切な言葉選びで相手にわかりやすく伝えられる
- 相手の前提知識を踏まえて相手が理解できる言葉で伝えられる
問題解決力
- 状況や相手に応じて適切なコミュニケーション方法を選択できる
- 問題の本質を見つけるために、適切な質問をすることができる
- 対立や意見の相違を円滑に解決することができる
関係構築力
- 自分で解決できない問題に直面した際、解決できそうな人を引っ張ってくることができる
- 上司・部下・同僚との間で、悩みやスキルアップの相互支援関係を築くことができる
- 他部門の異なる専門知識を有する関係者と連携し、課題の解決を推進することができる
勇気
- 新しいコミュニケーションの機会を得るための能動的な行動ができる
- 自分自身の意見を積極的に表現できる
- 難しい話題でも臆せず相手と対話できる
リーダーシップ(クリックで展開)
自己分析力
- 自分自身の感情や反応を認識し、適切にコントロールすることができる
- 自己の強みや弱みを理解し活かすことができる
- 自分自身の役割や責任を自覚した上で行動できる
他者認識力
- 相手の優れた点や良いところを認め、自尊心や行動意欲を高められる
- 相手の隠れた長所を発見することで、ポテンシャルを引き出すことができる
- 相手の欠点や短所を認識して、不足を補ったり支援したりできる
戦略的思考
- 中長期的な目標を設定し、それに向けた計画を立てることができる
- 組織全体の視点を持ち、ビジョンやミッションを明確にすることができる
- 組織内外の状況やトレンドを分析し、環境変化に柔軟に対応することができる
推進力
- 自分自身やチームメンバーのモチベーションを高めることができる
- チームの目的や目標を明確にし、効率的に作業が進められるようにできる
- チームメンバーの強みや特性を認識して活かすことができる
- チームメンバーから意見を引き出し議論を促進できる
- 議論を可視化し整理することで理解を深め、効率よく議論が進行できる
- 結論に対してチームメンバーのコンセンサスを形成することができる
責任感
- 自身の決めたスケジュールや他者との約束を遵守することができる
- 問題や課題に対して主導的な役割を果たし、解決に向けた行動ができる
- 失敗やミスに対して責任を負い、主体的に改善策を考えることができる
正義感
- 道徳的な価値観に基づき、公正かつ平等な行動をとることができる
- チームの決断について公正性を確保し、説明責任を果たすことができる
- 不正や不当な扱いを許さず、必要に応じて対策を講じることができる
育成力
- チームメンバーのレベルや意思に合わせて成長機会を提供できる
- チームメンバーの課題に合わせて目標設定や計画立てが支援できる
- 行動や思考に対して建設的なフィードバックを与え、成長に役立てられる
非対人スキル
問題解決(クリックで展開)
問題発見力
- ステークホルダーが示すサインやフィードバックを感じ取り問題を認識できる
- 外部環境の変化や兆候に敏感に反応して、問題の発生に気付ける
分析力
- 数値/文章/時間/空間等のデータを対象とした分析により、傾向予測や最適化案が導出できる
- 手順/構造/事例等を対象とした分析により、問題の特定や改善策の導出ができる
批判的思考
- 情報や意見を無批判に受け入れず、根拠や理論を検証し評価できる
- 個人の感情や先入観に左右されず、事実に基づいて判断できる
論理的思考
- 問題の原因や解決策に対して、根拠に基づいた検証可能な仮説が立てられる
- 事実やデータに基づく根拠が明確な推論の下、一貫性があり矛盾しない結論を導き出せる
適応力
- 状況の変化を認識して要因や影響を把握し、解決策の検討と実行および評価ができる
- 従来の方法が機能しない場合、新しいアプローチや方法を検討し試行できる
発想力
- ブレストやマインドマップ等を活用し、多様な視点でアイディアを発散できる
- 実現可能性や効果の高さを踏まえて優先順位を決定し、アイディアを収束できる
- 潜在的なリスクや障害を特定し、最小化または回避するための戦略や計画を立てられる
- リスクを継続的に監視し、必要に応じて対策を講じることができる
細部への注意力
- 問題の原因を特定するために、細かい事実やデータに注意を払うことができる
- 解決策を検討し実行する際に、細かい手順やタイムラインを考慮できる
根気強さ
- 目標の達成に時間がかかる場合でも、長期的な視点を持って取り組みを継続できる
- 困難や辛いことがあっても心揺らぐことなく諦めずにやり続けられる
創造性(クリックで展開)
観察力
- 多角的な視点で物事を細部まで捉えて、新しいアイディアに結びつけることができる
独創性
- 固定観念にとらわれず独自の視点やアプローチで考えることができる
想像力
- 現実に存在しない新しい概念やアイディアを思いつくことができる
革新性
- 産み出したアイディアを実用的な製品や解決策に紐付けることができる
イノベーション意欲
- アイディアの発案から具現化および継続的な改善を推進できる
時間管理(クリックで展開)
作業分解
- やりたいことに対してタスクを適切な粒度で洗い出せる
優先度設定
- タスクの優先順位を適切に付けられる
工数見積
- タスクの完了に必要な時間を正確に見積もることができる
計画策定
- タスクリストと見積を元に効率的な作業スケジュールを作成できる
- 作業を実施しながら計画に照らして進捗状況を把握できる
問題認識
- 作業進捗の妨げになる問題や課題を認識できる
問題解決
- 作業進捗の妨げになる問題の解決方法を検討して遂行できる
精勤性
- 業務に対して誠実に取り組める
自己研鑽(クリックで展開)
好奇心
- 学びたいことを発見して興味を持てる
学習力
- 自発的に学びの行動が起こせる
行動力
- 日々の活動から学びを得られる
習慣化
- 学びを習慣化できる
感情知性(EQ)(クリックで展開)
識別
- 自分や相手の感情を感じ取り察知できる
利用
- 問題や課題に対する自身の感情をコントロールし、必要な感情を生み出せる
理解
- 自身の感情の発生と移り変わりを理解し、感情と行動の関係を推察できる
調整
- 自身の感情を調整し、ふさわしい行動へとつなげることができる
ソフトスキルマップ完成!
以上でソフトスキルマップの完成です。これを使ってソフトスキルの習得プロセスを進めます。
- 認知:まずはソフトスキルの認知。どんなスキルがあるのかを知る。
また、認知以外にもソフトスキルマップの使い道はありそうだなと思っています。
- 自己評価:自身のスキルを自己分析。強味と弱点が何かを考えてみる。
- 目標設定:課題を特定して、改善のための目標を設定してみる。
補足
このソフトスキルマップはソフトスキルを習得するための補助となることを目的としています。「ソフトスキルとは何かを正しく定義する」という目的ではないので、完全性や網羅性が担保されていなくてもゴメンナサイ。あくまでも、ソフトスキルを認識したり課題を考えたりする際の気付きやきっかけにするためのツールとして使っていただければと思います。
- 構造的な完全性は無いと思います
- 要素の全網羅もたぶんできてません
- 定義の曖昧さも許容してください
- マップ自体を使いながら成長させていく前提です
認知の施策②:ワークショップ開催!
作成したソフトスキルマップを組織内で配布して「読んでくださいね」だけでは認知は進まないと思い、別途ソフトスキルマップを使ったワークショップを企画して開催してみました。
目的
ソフトスキルマップに掲載したスキル全てを対象にすると多過ぎて混乱するので、まずは「コミュニケーション」のスキルに絞って実施します。「コミュニケーション能力って具体的にどんな能力?」の認知を促進することを目的にしたディスカッション中心のグループワークです。
前提
ワークショップでは、アイディアを出したり、出した意見を分類したりするので、リアル開催であれば付箋とペン、オンライン開催であればオンラインホワイトボードがあると、ディスカッションが円滑に進められると思います。工夫次第でスプレッドシートなどでも簡易に議論を可視化することができます。
私たちの環境では日常的にオンラインホワイトボードを使っています。以降の説明はこのオンラインホワイトボードを使って進行している前提で読んでいただけると助かります。(オンラインホワイトボードの使用例は以下の別エントリーをご参照ください。)
進め方
1.趣旨説明
前述のソフトスキルの重要性やソフトスキルマップの概略を説明したのち、本ワークショップの目的とアジェンダを説明しました。また、補足としてコミュニケーション能力の構造についてもソフトスキルマップとの関連も含めて解説しました。
コミュニケーションのスキルは大きく分けて「入力」「思考」「出力」に分類でき、それぞれスキルマップで定義したスキルが以下のように分けられます。この構造を補足として事前に説明しておくと、コミュニケーションのスキルを認知する上での手助けになります。
①入力:コミュニケーション相手から情報を獲得します
②思考:情報を元に自分の意見や対処方法を考えます
③出力:コミュニケーション相手に自分の意見や気持ちを伝えます
2.コミュニケーションの具体例
ここからワークショップのスタートです。まずはソフトスキルマップは使わずに、参加者が考えるコミュニケーション能力の「ある人」と「ない人」の具体例を挙げてもらいます。例えば「話を最後まで聞いてくれる」(良い例)とか、「様々な解釈ができてしまう言葉選びや文章構造、省略をしてしまう」(悪い例)とか。どんなものでも構わないので、参加者から良い例と悪い例をたくさん出してもらいます。
例)
3.具体例のソフトスキルマップへの割り付け
出してもらった具体例をソフトスキルマップの該当するスキルに分類していきます。例えば「聞いた人が嫌な気持ちになる表現を使わない」は「協調性」かな、とか。「ミスを人のせいにする」は「内省力」かな、とか。正しい分類でなくても構わないので、どれに当てはまるのかを考えて皆で議論することによって、普段のコミュニケーションがどんなスキルで成り立っているのか理解が深まっていきます。
例)
4.割り付けを見ながら他に追加で例が無いか考えてみる
具体例をソフトスキルマップに割り当てると、意外と具体例が出てないスキルがあったりします。そうしたら今度はソフトスキルマップ起点で具体例を考えます。良い例、悪い例、ともにアイディアを出していくと、気付きにくいソフトスキルにも焦点が当たって理解が深まります。
5.自分にとって重要だと感じたスキルをドット投票する
ここから先は認知から実践につなげるためのワークです。数も多いですし一度に全てをスキルアップするのは難しいので、特定のスキルに絞って実践方法や実践する上での課題を考えていきます。
参加者でドット投票を使ってどのスキルについて議論をするか絞り込みます。より多くの人が課題を感じているスキルに焦点を当てる方が参加者の満足度が高くなります。
6.最多得票スキルの実践方法を考える
対象スキルを絞り込んだら、そのスキルを実践する方法ついて考えていきます。扱っている対象がソフトスキルなだけに、実践方法もふんわりした心の在り方に関するものが多くなりがちです。実践方法はそれが具体的な行動かどうかを考えるようにすると良い気がします。例えば「傾聴力」の実践方法であれば、「先入観を持たないようにする」や「相手に興味を持つ」といった実践方法でも良いと思うのですが、行動に移せたかどうかや効果がどれくらいあったかなどのふりかえりがし難いです。もっと具体的に「相槌を打つ」「話を遮らないようにする」「相手自身を否定しない(思っても口にしない)」「相手の話に対して感想や意見などのフィードバックをする」といった、すぐに行動に移せるような対策案もあるとスッキリします。また、実践時に障害になる要素についても意見を出して、どうやったら解消できるか議論するのも良いかもしれません。
特に5以降は認知したスキルを実践に繋げるためのディスカッションです。まず認知には1~4が重要だと思うので、5以降はオプション的な扱いで時間があれば実施するでも良いと思います。
成果
いろいろな具体例が出てきます。私たちがワークショップを実施した際には、総勢45名(5グループに分割)で具体例が合計376個も出てきました。特にコミュニケーションは普段の業務で密接に関係しているスキルなので会話も盛り上がります。
また、自分以外の考えにも触れることで、よりコミュニケーション能力への理解が深まりましたし、ワークショップでのディスカッションを通じてお互いの考えをより深く知ることもできました。
- ソフトスキルにおける自身の課題を、より具体的に認識することができる
- スキル習得に向けて具体的な実践方法をイメージすることができる
- 実践する上でのハードルも認識することで効果的にスキルアップが図れる
今後の課題
実践と内省のループ
ここまででようやく「認知」の仕組みと取り組みができました。残りの「実践」と「内省」は今後の課題です。個人の活動だけでなく、組織としてメンバーのソフトスキルを向上させる仕組みを構築していけるよう取り組みを継続中です。
引き続きソフトスキルの重要性と認知度UP
また、コミュニケーションについてのワークショップは開催しましたが、それ以外のソフトスキルについてはまだソフトスキルマップを公開しただけなので、認知のための活動を更に進めていく必要があります。特に非対人スキルは自分自身もあまり得意分野ではないので*1、自身の課題とも照らし合わせて活用していけたらと思っています。
更にソフトスキルの認知度を上げていくために、以下の草の根活動をSlackの専用チャンネルで実施したりしています。
- 「ソフトスキル」の専用Slackチャンネルを開設
- 同チャンネルにて、定期的にソフトスキルマップを解説するコラムを投稿
- 同チャンネルにて、適宜お悩み相談を受け付けて皆で解決策を考えたりアドバイスをもらったりするなど
組織内でソフトスキルの重要性について認知を広げながら、現場の困りごとを解決する手助けなど進めていくことで、実態を伴うスキルとして定着していくのではないかと考えています。ソフトスキルマップを配ってワークショップを実施して終わり、ではなく、スキル習得の支援が継続する状態を維持していきたいです。
参考情報
最後に参考情報です。ソフトスキルマップ検討を始める際に、利用できそうなソフトスキルの定義や研究成果等が無いか探してみたのですが見つけられず、「それじゃあ自分たちで作るしかないか」と今回は自主製作に至りました。上手く探せてないだけかもしれないので、もし何かご存じの方がいらっしゃいましたら教えていただけると嬉しいです。
また、後になって知ったのですが、海外でソフトスキルについて研究や教育活動を実施して情報を公開されているULISSE Projectという団体がありました。(検討を始める前の調査は日本語だけじゃなくて英語でも検索してみるべきでした。)
こちらの団体では、ソフトスキルの定義を策定したり、学生の教育に活用したりといった取り組みをされているそうです。定義だけでなくワークショップの資料も公開されていて、素晴らしい活動だなと思います。
公開されているソフトスキルの定義については私たちのソフトスキルマップと似通っている部分もありますが、ソフトスキルマップには無い要素もあるようです。今後、参考にさせてもらって引き続きスキルマップをブラッシュアップしていきたいです。
これからも開発組織全体の組織品質にも貢献できるQA組織として活動を続けていきます。アップデートがあればまたこちらでご紹介していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
*1:定義は作ってみたものの、特に「問題解決」や「創造性」などは苦手分野です